2022年「相」決算 相鉄線内と直通関連の車両動向

 年末恒例、相鉄の1年を振り返っていきます。相鉄線内と直通関連の車両動向についてまとめました。

新車の導入「直通開始体制」が整う
更新工事8000系に新たな形態が登場
JR直通E233系が12000系運用を代走
東急直通・相鉄サイド20107×10と21101×8の長い貸し出し
東急直通・東横線サイド5050系10連は15本体制に
東急直通・目黒線サイド3020系・5080系の8連化は完了
2023年展望新車増備完了後の相鉄と相鉄対応車なき各社の対応

新車の導入:「直通開始体制」が整う
 新車は21105×8〜21107×8の3本が導入されました。21000系は合計9本の導入が公表されているものの、残り2本は2023年度以降の導入となり、これで相鉄・東急直通線の開業時の体制は整ったことになります。

更新工事:8000系に新たな形態が登場
 昨年から年をまたいで長野総合車両センターで機器更新を行った10703×8は、その前の更新車両である10702×10と同じ形態で運用に復帰しました。2022年はこれに続く10000系の長野総合車両センター入場はありませんでした。更に8000系も8708×10が先頭形状を8709×10と同じにして自動放送を搭載しつつ、塗装変更は行わず運用に復帰しました。昨今の情勢による選択と集中で既存車両のYNB化は中止しつつ、それ以外の工事は同じパーツを用いることから推進することになったようです。8000系については間髪入れず8710×10も工事に着手しており、この形態で工事が進むと2023年には乗り入れ車両も含め全列車が自動放送搭載車での運行になる見込みです。

JR直通:E233系が12000系運用を代走
 10月15日、E233系ハエ102編成が所定12000系使用の土休日71運行を代走しました。これは3年ぶりに開催されたJR東日本の川越車両センターまつりに12000系を展示するため、12102×10の貸し出しとハエ102編成の借り入れを行ったことで実現したものです。ダイヤの乱れで突発的に横浜駅やいずみ野線に入ることは何度もありますが、平常運転で横浜駅やいずみ野線に入ることは極めて異例で、土休日71運行には急行やいずみ野線発着などの非直通列車も多く含まれるため、とても撮り甲斐のある代走となりました。

東急直通・相鉄サイド:20107×10と21101×8の長い貸し出し
 相鉄内での東急直通に関する動きでは、引き続き20000系・21000系に東急直通対応工事が施工され、さらに前面に編成番号を示す「00x(20000系)」・「10x(21000系)」、また21000系にはそれに加えて「8CARS」のステッカーが貼られました。細かいところでは運行番号表示が右詰めから左詰めに変更されたこともポイントとなっています。
 この他、年が明けてすぐに20000系20107×10が甲種輸送で東京メトロ綾瀬車両基地に送られ、そこから和光検車区、同新木場分室、更に東急の元住吉検車区にも入る大きな動きを見せました。特に有楽町線の走行と新木場分室への入線は定期運用では実現しないと思われ大変貴重なものとなりました。相鉄へは新線区間の試運転が始まった10月になってから自力走行で戻り、上記ステッカー貼り付け等の作業を車両センターで行った後は再び貸し出されることが多く、12月末になって日中の走行で再び新木場分室に入っています。
 21000系は、甲種輸送で戻っていた21101×8が再び東急長津田駅へ甲種輸送されました。2021年と同じく都営三田線志村車両検修場、埼玉高速鉄道浦和美園車両基地への入線が確認され、各線で日中試運転に使用されています。こちらも11月に自力走行で戻ってステッカー貼り付け等の作業を車両センターで行い、引き続き各線で日中試運転に使用されています。
 20000系・21000系共に相鉄側・東急側・その他直通先側それぞれで試運転を行っていますが、気になるのは20000系が日中にも何度か元町・中華街駅まで試運転していることです。有楽町線と同じく非常時の走行を考慮したものの可能性が高いと思いますが、あるいは運用の都合で元町・中華街駅発着の定期運用が設定されるのかもしれません。

↑20107×10の甲種輸送準備。

↑綾瀬車両基地に入った20107×10。

↑和光検車区に入った20107×10。

↑元住吉検車区に入った20107×10。

↑和光検車区新木場分室に入った20107×10。

↑長津田検車区に入った21101×8。

東急直通・東横線サイド:5050系10連は15本体制に
 東横線では、5050系の10両編成が15本まで増えることが発表されました。5050系8連で相鉄直通対応工事を施工した5166F〜5169Fの4本が順次10両編成となり、4112F〜4115Fとなります。これら4本は東横線初の「Q SEAT」を連結しますが、相鉄・東急直通線および相鉄線内でQ SEATサービスを提供するかどうかは不明です。11月25日には4102Fが相鉄線内に入り、試運転を行いました。


東急直通・目黒線サイド:3020系・5080系の8連化は完了
 目黒線では、残っていた5080系の相鉄直通対応化工事は完了し、8両編成化を進める段階となりました。既に3020系と5080系は全て8両編成となっており、3000系も数本を残すのみの状況です。相鉄への入線は3000系が先行し、3101Fが相鉄線内に入り、試運転を行いました。
 三田線では6500形13本が出揃って営業運転を開始しました。一方で川崎車両から搬入された南北線9000系の増結車は新木場に留置されたままで、これに続く増備もありません。埼玉高速鉄道では8両編成の新車を発注したということで、その登場が待たれるとともに6500形のような相鉄直通の準備があるのかどうかが気になるところです。


2023年展望
新車増備完了後の相鉄と相鉄対応車なき各社の対応

 相鉄の中では、2023年(年度)は21000系の残り2本が増備される見込みです。直通開始時は20000系・21000系7本ずつで対応する見込みのため、この2本のフル活用は1年以上先と見られます。ではその2本の導入で何が起きるのか。前述の通り10000系の機器更新が一旦ストップしたため、これが再開されるかどうかが1つのポイントです。また8000系の更新工事は前面の作業と自動放送の搭載に絞ったことで1ヶ月少々の工期で竣工しており、このペースだと新年度に入ってすぐぐらいには8713×10まで工事を完了できそうです。20101×10の登場から足掛け6年に渡った直通事業のための新車導入もいよいよ終わりを迎える2023年は、「その先」を展望できる動きに注目です。
 直通関連では、まだ3020系と5080系が相鉄に入線していないため、その実施が待たれます。2022年は限定的な試運転に留まった5050系と3000系も含め、残り2ヶ月少々で試運転は本格化することでしょう。また 直通に使用される車両の体制は既にはっきりしているため、2023年の最大の注目点は自らは相鉄に対応した車両を持たないまま相鉄直通列車を運行する都営・メトロ・埼玉高速・東武の各社に相鉄対応車を用意する動きがあるかどうかと言えます。
 都営6500形は運転台やアンテナ台座等に準備の一端が見えるため最も期待が持てますが、メトロは副都心線も南北線も今のところ可能性が見出だせません。南北線に至っては9000系の8両編成化がゼロのまま直通開始を迎えます。どうやら9000系の更新・増結を見送って新形式(19000系?)を導入するのではないかと噂されています。その場合は都営6500形のような相鉄直通の準備が期待できますが、その場合今度は一組だけ作ってしまった9000系の増結車の処遇が課題となります。埼玉高速は上記の通り新車を計画していることから相鉄直通の準備が期待できますが、完全な対応は南北線より先にはあり得ません。
 そしてここに来て注目する必要が出てきたのが東武です。予想に反して日中も東上線〜相鉄線直通が走ることが明らかになり、遠からず自らも相鉄に対応した車両を持つ可能性が出てきました(相鉄20000系の東武対応の可能性も然り)。主力の9000系・9050系は有楽町線直通開始時からの古参となっており、特に9000系が用いるチョッパ制御は10000系を廃車にして機器を確保するなど苦しい台所事情が垣間見えるため、新車導入の際はやはり相鉄対応の準備ぐらいはありそうです。

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